つん太の最後の旅 El Paso(文責・由里)
2001年年越




12月29日、エルパソ(地図「1」)に到着。
早速、リオグランデ川の橋を歩いてメキシコ国境を越える。
プレートの中央の縦線が国境の位置。
このとき、つん太はメキシコ側にいる。



メキシコ側の町、Juares(ファレス 同じく地図「1」)にて。
ワゴンにプリンを山と積んで売っていた。
スペイン語では「flan(フラン)」。
がちがちに硬くて、「す」が入っていて、
でも、つん太、大喜びで「もっと食べたい!」と繰り返していた。



メキシコ側の喫茶店で、ココナツパイとシュークリーム。
アメリカのお菓子ほど甘くなく、日本人にはちょうどいい味覚。
特にシュークリームは絶品だった。
どうも、経営者が中国人らしい。
つん太には少し物足りない味だったかな。
でも、やっぱり嬉しそうに食べてたな。



小さなお菓子屋さんに、いろいろな干し果物を売っていた。
オレンジの皮を丸ごと砂糖漬けにしたのと
ライムの中身をくりぬいてココナツを詰めたのを買った。
このライムがアメリカ再入国のときに問題になった。
「種の入った果物は駄目」とう検疫上の問題があったのだ。
でも、職員が仔細に点検し、OKを貰って無事入国!
良かった良かった。



12月30日、Guadalupe mountain 国立公園(地図「2」)。
州内の最高峰(8749ft.≒2667m)だそうだ。
この日は横を通過しただけだけど
夏にはたくさんの花が咲き乱れて綺麗になるから
その頃、絶対にまた来ようねと約束したのに…



このあたりは砂漠地帯。
道の両側にサボテンがみっしり生えている。
ごめん、ちょっと痛いけど、せっかくだから記念写真。
でも、つん太はちゃっかり「おちない君」の左手の上に乗って
自分だけはラクをしていた様子。
私も右手人差し指と左手薬指に棘を刺したのに!



Carlsbad鍾乳洞国立公園(地図「3」)。
物凄く大きな鍾乳洞だった。
夏にここに来ればコウモリの大群に会えるらしい。
今は残念ながら季節外れだけれど
私たちはコウモリぬいの「ウンブレロ」君と出会えた。



12月31日、White sands国定公園(地図「4」)。
真っ白な雪山のように見えるけど、これは石膏の砂。
「これが全部、お砂糖だったらいいのになぁ!」
埋めて帰ったろか、と意地悪く言ってやったら
「できる物ならやってみな♪」とにこにこ笑ってた。



砂の上に大きく「つん太」のサイン。
あとから来る人に踏まれて、風に吹かれて、
たぶんこの日のうちに消えてしまったろうけれど。



1月1日、El paso市内の山に沿った観光道路、Scenic drive。
途中の展望台からメキシコ方面を望む。
つん太の頭の上に走っている横線と地平線の真中あたりが国境線。
「あっちはフラン(プリン)の国だねぇ」と呟いたつん太。
これが、私たちの手元に残ったつん太の最後の写真になってしまった。



夫と私とぬいぐるみ6匹を乗せたダラス行きの飛行機が
つん太を残したままエルパソ空港を飛び立つ。
身が引きちぎられる思いだった。
つん太、つん太。つん太。私のつん太。
いつも、私のポケットの中にいたつん太。
無意識にポケットを叩いては、つん太の所在を確認するのが癖になっていた私。
ダラスに着陸し、飛行機を降りるときも
つん太がいないことは判って判って判っているはずなのに
やはり癖でポケットを叩いて「座席に取り残していないか」を確かめてしまった。
私のポケットの中には、もう、つん太はいない。