日刊月刊つん太 2007年(代理執筆・由里)

最古(2000年11〜12月)//2006年//2008年//最新(2014年)の日刊つん太へ
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12月

ファンネルケーキは食い損ねたけど
アイスホッケーの前売り6試合分を買ったら、遊園地のタダ券が付いてきた。
いい加減、年も年だし、脳血管や心臓に負担のかかりそうな絶叫マシンにはもう乗れない。
絶叫マシンが売り物の遊園地なので、それに乗れなきゃ行く価値はほとんど無い。
入場は無料だけど駐車料金はしっかり取られるし
その駐車場料金がボッタクリと言っていい程に高い遊園地なので
本当はタダ券なんか無かったことにしてそのまま捨てちゃうのが一番経済的。
だけど、まあ、ホリデイ・シーズンだし、もしかしたら園内ピカピカ光って綺麗かも〜と
割と暖かめな日を選び、ふらり遊びに行ってみた。

着いて一番、「さあ、何食べようか」「あー、焼きモロコシだ、あれ欲しい!」
醤油味じゃなくて、すさまじい量のバター浸しでしたが、美味しかったです。
「さああ、次は…何食べようか」をいをい^^
ポップコーンか綿飴か、おいしそうな物を探し歩いていたら
目の前に園内一周の汽車の駅があり、ちょうど今発車しようとしているところ。
これなら心臓に負担はかからないだろと飛び乗ったら
車掌のお姉さん2人がクリスマス・ソングを大音量でたっぷしと歌い聞かせて下さいまして
次の駅に着く頃には、ちょっと頭くらくら。
なのでホットドッグを齧って辛子で心を静める。
プレッツェルを頬張り、フライド・チーズケーキに舌鼓を打ち、
せっかく来たのだからと決死の覚悟で比較的優しめの絶叫マシンを1台こなし、
あとはぷらぷらと土産物屋を冷やかして帰ってきました。
楽しかったので、来年もタダ券が来たら来年も行きたいっす。



これは何かっつうと、大人気アトラクションの「Frosty's Snow Gill」。
ご覧のような緩い短い人工雪の斜面を、そりで滑りおりる…だけ。
これで、この日、約1時間待ちの行列ができてました。
ダラスでだって年に1度くらいは雪も降るけど
そり遊びできるほどには積もらないもんなあ…


奥さんも返品したいと夫言い
アメリカという国は、返品天国。
(店にもよるけど)1年以上前に買った物でも、レシートさえあれば返品可能だ。
食品に異物が入ってたとか家電の電源が入らないとか、商品に欠陥があった場合は勿論のこと
「気がかわった」「飽きた」なんて理由でも返品できちゃう国なのだ。
極端な話、旅行前にビデオカメラを買ってさんざ酷使して
帰ってきてから「もう要らない」と返すことだってできる。
私はやる勇気ないけどさ。

この国に来たばかりの頃、大箱入りの密閉容器のセットを買ったことがあった。
が、家に帰って外箱を開けたら、蓋の数と容器本体の数が合わない。
本体が表示個数よりも1個少なかったのだ。
店に文句を言おうか。でも、最初から足りなかったって証拠は1つも無い。
私たちが無くしたか、最悪ウソついてるって思われる可能性もあるし
小心者の日本人夫婦、ぐだぐだ悩んだ挙句に結局泣き寝入りをしたのだった。
そして、だけど、近頃の私たちは。
ズボンを買い、家に帰ってよく見たら腿のあたりが刃物でばっさり切られていた。
(たぶん、段ボールを開けるときにカッターで一緒に切っちゃったような感じ?)
何一つ考えずに即、お店に戻って交換。
値札を外そうとして生地まで切った馬鹿が図々しく返品に来た、と誤解されたら嫌だな、とかは思わない。
買う前によく状態を確認しなかった私が悪いんだからこれは諦めよう、とも思わない。
いつの間にか、随分と神経が太くなったものよ。(神経にも脂肪ってつくのかしらね)

そして更に。
2年ほど前に買った小さな家電が、どうも使い難い。
それでも無いよりはマシと我慢しながら使ってきたが
ひょんなことから、それがたまたま不良品だったことが判明した。
本来なら、もっとちゃんと動く筈の商品だったらしいのだ。
幸い、家の面積が無駄に余っているので、購入時の外箱は保管してあった。
箱の中には輪ゴムや針金の類まで梱包材が完全に残ってる。説明書の束も当然。
そいつを全部まとめ、購入店に持って行く。
ほとんど判読できない程に印字が薄れた2年前のレシートを出したら
お店のお姉ちゃんが笑い転げて褒めてくれた。
レシートは大事。


ほんかんらいよろ 本年の(略)感謝(略)来年も(略)よろしく(笑)

庭のピカンは飴煮きにした。お餅も搗いた。
黒豆煮えた、お膾も金団も伊達巻も作ったけど
だけど大掃除はしてません。
「大」だけでなく中も小も掃除一切してませーん、いばりっ!
鏡餅マリーちゃんに松竹梅やら鶴亀やらのアクセサリはどっさり付けてやったけど
自分自身の体はほったらかし。
いいんだよ、新年が来ると思うから焦るんだ。
太陰太陽暦じゃ、新年はまだ1ヶ月以上先。
泰正月は(グレゴリオ暦の)4月だし、ユダヤのは(同)9月だし、イスラムはいつだ、えーと。
とにかく、今が年の瀬だっていう暦の方が少数派なんだよっ!
てわけで、ごみの山に埋もれたままで年を越します。

大晦日は毎年恒例、ダラス・スターズの試合を熱く応援した後
会場の外で行われる迎春秒読み祭り(無理矢理の和訳)に参加の予定。
今年はちょっと寒い、もしかしたら氷点下かもな夜だけど、懐炉をお腹に楽しんで来ます。
皆様も、どうぞ良いお年をお迎えください。
…前段と言ってることが違う? あれ?そんなこと言ったっけ わし。



お節の飾り、片栗粉と桜海老で作る海老せん。
右側の海老ぬい2匹は、手前が「金時」、
後ろがマリーちゃんの添え物としてお馴染み?の「五右衛門」です。
長く懸案だった「ジンジャーブレッド神社」も試作したけど
砂糖衣を乾かす段階で見事に失敗…
来年、建立し直し。


11月

クランベリーのソースに、庭の蜜柑の皮を刻んで混ぜて香りをつける。
庭のピカンはパイにはとても足りやしないけど、せめて隠元の和え衣に使ってみる。
年に一度の感謝祭様、いらっしゃいませ。


ちょっぴり共食い気分
行きつけのスーパーが今年もくれた冷凍七面鳥の引き換え券。
去年までは確か「○ポンドまで」って上限があったけど、今年はなんと「どんな大きさの物でも1羽無料」。
来年どうなるかは勿論わからない。と、もしかしたらこれが最初で最後の機会かも♪と
欲張り婆さん、スーパーの冷凍庫をひっかき回して一番大きな七面鳥を取ってきた。
表示重量18.79ポンド、約8.5kg。
今迄焼いた中で一番大きかったのが6.47kgだから、一挙に3割増し。
一番小さかった年は4.54kgで、それと比べたらほとんど2倍近い。
こりゃ、食っても食ってもなくならないぞ、残り肉の始末が楽しいぞ、うはは、うはは。

「冷蔵庫で2〜4日かけて解凍しろ」という外袋の指示に沿って感謝祭4日前に冷蔵庫に移したが
当日朝、いざ取り出してみたら、まだガチガチの氷塊のままだった。
凍った鳥でもかまわず天火に放り込めば、時間は余分にかかるが取り合えずちゃんと焼けるらしい。
でも、腹腔に収められてる内臓や「グレイビーの素」のビニール袋だけは発掘しないとまずかろう。
私が両腕で抱えた七面鳥の腹腔に、夫が薬缶のぬるま湯を注ぎ込む。
冷凍食品の取り扱いとしては不正解な方法だけど仕方無い、ビニル詰まったまま焼くよりはマシだわさ。
やっとの思いで内臓袋をほじり出し、次は皮に塩と油を塗ったくる作業。
でも、室温で軟化させておいたバタが、冷たい七面鳥の上でたちまち再び固まってしまう。
胸の奥深くに刺さなきゃならない温度計は凍った肉に阻まれ立ち往生、
もうどーにでもなれとバタ塗れず温度計刺さらずのままの鳥を天火の最下段に押し込んだら
つんと立った手羽先が天火の天井に触れそうになった。
手羽、羽交い絞めにして背中の下に畳み隠しちゃった方が良かったかな。
そうすると焦げた手羽先のカリカリが手に入らなくなっちゃう。
ま、今日はなんとかギリギリ収まったし、来年以降こんな馬鹿でかいのを焼かなければ済む話さ。


過去最大の、そしておそらく人生最大だった七面鳥は
だけど、焼いてるうちに今まで見たことがないほどの脂がじくじくじくと流れ出し
5時間少々かけて焼き終えたときは呆れるほど小さく縮んでしまっていた。
普通に食べて、残った肉の量もいつもと変わらず。
洗って乾かして大事に保存してある毎年の叉骨(ウィッシュボーン)を出して並べてみたら
今年の骨はどちらかと言えば寧ろ小さめな方に属したのであった。
骨格が小さく、筋肉も無いのに、皮下脂肪ばっかり大量に蓄えて重くなった鳥さんだったのね。
…地球に攻めて来た宇宙人さんが私を捕まえて天火に放り込んだら、同じ感想をもつかしら、とほほ。
まだ見ぬ宇宙人さんのために、また、ちゃんと運動しなくちゃな(最近さぼりっ放し)


マットはまだ見つからない
感謝祭翌日は大売出し。
北欧家具屋(10月の4項目参照)が「10ドル以上買ったら10ドル引き」の券を送ってよこしたので
そいつを握り締めていそいそと出かけ行く。
ほんとは「マット2号(10月の4項目参照)」が欲しかったのだけど、生憎とこいつは9ドル99セント。
どうにも半端すぎるので諦めた。
かわりに捕獲してきたのは王冠かぶったカエルさんと、じじむさい顔のネズミさん。
2匹合計10ドル98。まずまずの収穫。

王冠かぶったカエルといったら、名前はエル太で決まりでしょ。(中川李枝子『かえるのエルタ』より)
あり?エルタは赤目だったっけ?…ま、いっか。
ネズミの方は、「エル太よりやや小型のM太」「チュウチュウ鳴くから中=M太」と付けかけて
でも、あまりのじじむさい顔に負けて「トキ」に変更。(斉藤惇夫『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間』より)
トキは、我が家の先住ネズミのホワーとたちまち仲良くなった模様。
ホワーは我が家のぬいの中の最長老(私と同い年)で、最新入りのトキとの差はウン十歳。
なのに2匹ならぶと非常にしっくり来るのが不思議な感じ。
エル太は、マットとうまくやっているっぽい。
エル太もマット同様、お口がチャックでぱかーっと大口を開けるのだ。
但しエル太の口中には最初から1匹の蝿が刺繍されていて
ハエハエカカカ以外の食い物には興味が無い模様。
ま、だからこそ食い物の奪い合いにならず友情を築けるのかもしれないが。
今年の新ぬい、これで打ち止め…かな?
ちゃんとご紹介してない子もいるし、総勢10匹まとめて写真撮ろうかなっと。


縁がなかったと諦め…きれぬ。
肉をあらかた削ぎ落とした七面鳥の骨をぐつぐつ煮込み、スープをとる。
今年はバタを塗っちゃったから、中華粥やラーメン、和風の鍋物には使い難いかな。
いつもはベーコン脂だから、もう少し応用がきくんだけど。

濃厚な一番だしは、冷凍。残った骨をもう一度煮たて、二番だしを取る。
煮込んでるうちに骨から剥がれた屑肉、腹腔から掻き出した香味野菜を二番だしと合わせ、冷蔵庫へ。
翌日、もう一度沸かし直して、小麦と卵の洋風水団を放り込んで夕食にする。
ちょっと七面鳥臭いけど、んまい。

さて、食べ終えた後の食器と鍋を洗いつつふと見たら、鍋の縁に妙なヒビがある。
ちょいと指先でつついたら、小指の先ほどの面積のホーローが剥がれて取れてしまった。
ぐあーーーーーん。
去年の夏に日本で買って持って来て、大事にしまって置いた貴重なホーロー。
感謝祭の副菜作りで鍋が足らず、それで初めて箱から出してやった、今回が初仕事のお鍋君だったのに。
傷つけるのがイヤだったから、骨を煮るのには使わず、漉し取ったスープを入れるのに使ってやったのに。
なんてこったい。
冷蔵庫で冷え切った鍋をいきなり火にかけたのが原因かねえ?
他のホーロー鍋だって、いつもそんな風に仕事させて来て、全然平気だったのに。
…むっちゃ口惜しい。
なにより飛行機の預け入れ荷物の23kgX2個という厳しい枠の中、苦労して持ち帰った品物が一瞬で壊れたことが口惜しい。
この鍋を買って来なければ、トランクの隙間に麦チョコ1ダースくらい入ったろうに。
口惜しいからこのまま錆びさせて、正月の黒豆を煮るとき使ってやろうと画策中。


10月

54人
ハロウィンの来訪者数はほぼ平年並み。
今年のお客様の中で一番珍妙な仮装だったのは「中国の獅子舞」。
旧正月に中華系スーパーの前で踊る、本物の装束。
ぱかっと開けた獅子の口の中にチョコを突っ込んでやったら礼を言って帰っていったけど
頭と前足役が1人、後ろ足役が1人、…なのにあげたチョコは1人分(2個)だけ。
あいつら、損してるじゃん。
前足君、1個はちゃんと後足君に分けてあげてよね?
ま、何はともあれハッピー・ハロウィーン。
私の小さな手乗りオバケも、どこかで甘い物に埋もれてるといいな。


決めてはシナモン
フランス風の軽食屋で、クレープを頼んだ。
ナマの苺に洋酒の入ったクリーム添え。クレープ本体はシナモン風味らしい。
運ばれてきた皿が写真よりかなり見劣りすることに落胆しつつ、1/3弱を切り取って一口。
もぎゅ、もぎゅ、、、、………!!!!!!ごくん。
もう一口分を切り分け、隣でクロワッサンを食べている夫を突付く。食え。
もっきゅ、もっきゅ、、、、「あ。」
「八つ橋」「だしょ」
いったいどんな組成の生地なのか、少しもっちりした食感が生八つ橋そのもの。
もちろんシナモン風味もばっちり生きてる。
クレープの端の少し焦げた部分はまるで焼き八つ橋みたいだ。(少し頼りないけど)
…苺とクリーム、要らない。かわりに粒あんが欲しい。
このクレープを持ち帰ってうちにある餡子を包むか、それともうちからコッソリ餡子を持ち込むか。
どっちにしても、近いうちにまた、この苺クレープを頼むぞ(苺抜きで)。

私はこのクレープを八つ橋代用品として食べるけど
これ、いっそ京都で「八つ橋クレープ」とか言って売ったら儲かるんじゃないかいな。
狙いは修学旅行生と「あんこは苦手〜」とかって層。
…もう、あるかもな。


一口タルトちょうど2個分
庭のピカンが、この夏、初めて実を結んだ。
秋になり、ようやく涼しくなってきた庭を散歩しながらふと見上げたら
黒ずんだ果肉がぱかっと割れて、ピカンの殻が顔を出している。
わあお。
庭を跳び回ってる栗鼠どもに見つからないうちに、と
大慌てで脚立を持ち出し、全部の実をもぎ取ってしまう。
採れた実は18個。
洗って、乾かし、暇な昼下がりにバキバキと殻を剥き、
右手親指の爪欠損と人差し指の出血と引き換えに得た可食部が68g。
市内のスーパーの測り売りピカンがポンド(445g)当たり8ドル99だから
今年の収穫高は1ドル35セント弱ってか… 肥料代と水道代とで大赤字だ^^
来年はもっと豊作であることを期待しよう。
その場合、指の怪我はもっとひどくなるだろうけど。
マットを買いに行ってマットを買ってきた
前庭の芝を刈っていた夫が、うっかり、ほんのちょっと、芝刈り機を暴走させてしまった。
そいつは、我が家の玄関先の泥拭きマットを乗り越え、玄関扉にぶちあたって停止。
泥拭きマットは瞬時に引き裂かれ、ずたずたボロボロになってしまった。
(巻き込まれたのが夫の足じゃなくてほんとに良かったよ、はああ)
仕方が無いので翌日、新しい泥拭きを探しに出た。
今回身罷った泥拭きは、5年前、ヒューストンの北欧家具屋で買った物だったので
同じようなのが手に入ったらいいなーと、まずは同じ北欧家具屋のダラス店に行ってみる。
植木鉢とか犬の餌皿とか「外の物」をまとめてある一画を丹念にうろつくも、泥拭きは見当たらず
「違うよねえ?」と言いつつ絨毯・ゴザの売り場を覗いたけどやっぱり泥拭きは無く
その他あちこち探したけれど、結局お目当ての泥拭きマットは見つからなかった。

その代わり、泥拭きを探し歩く途中で、無っ茶苦茶に愛らしいぬいぐるみさんに遭遇してしまった。
灰色の、2本の触覚を持った、平ぺったいぬい。
ぱっと見「ゴ」の付く虫に似てるけど、背中に羽根は無くて、足は8本もある。
だから「ゴ」では無い。
背中のデコボコは団子虫か王蟲っぽい感じ?でも足は8本しかないから王蟲でも無い。
なんだか正体不明の生物で、だけど、とにかく愛らしい。
口はチャックになっていて、引っ張ったらぱかーっと大きく開いた。
選り好みせずに何でも食べそうな良い口だ。
夫はちょいと渋い顔をしたけど、最終的には私の粘り勝ち。そいつは我が家にやってた。

最初に「ゴ」と間違われたのを根に持って、「ゴ*」という音に過剰反応するのが唯一?の欠点。
「ご機嫌」とか「ご希望」とか「ご期待」なんて単語を耳にすると
「今、ゴ*って言いましたね?言いましたね??言いましたね???」と突っかかってくるのだ。
でも、そこを除けば、私が見込んだ通りに節操無しの大食いのカワイイ奴である。
うちの先住ぬいぐるみたちは、マリーちゃんたち一部の大型ぬい以外、全員ひととおり食われた。
テレビのリモコンを食い、財布を食い、ちり紙を食い、
昨日は私の鉄亜鈴2個、合わせて3.6kg強を丸呑みして身動きできなくなってた。
名前は、マットを買いに行って買って来たのだからして、当然「マット」である。平ぺったいしね^^


9月

夏の休暇はワシントン

マウント・レイニア国立公園では、結構いろいろ酷ぇ目に遭った。

昨年の大洪水の影響で園内の幹線道が未だ封鎖されていて、2時間以上も無意味な迂回路を走らされたり。
わしらの車と良く似た色の車に乗ったどこかの馬鹿が速度違反して
そいつと間違われた無実のわしらが国立公園のレンジャーさんから取り調べを受けたり。
…日頃は「物知りでカッコいい学芸員さん」なレンジャーだけど、いざとなると非常にコワイのだ。
聞くところでは、園内では警察と同等の力を持っているらしい。
結果的には「証拠不十分」で放免、罰金は取られずに済んだけど、ひぃ、おっかなかった。

ダラスとの気温差もつらかった。
「涼しいかな」「涼しいでしょ」…旅行前日、荷造りしながらの夫婦の会話。
レイニアは稚内よりももっと北に位置するから、8月と言えどもかなり涼しかろ、というのが私の考え。
一方夫は、レイニアは富士よりももっと高い山だから、8月と言えども相当に涼しかろ、と思っていたらしい。
2人それぞれが別々の1種類の涼しさだけを想像し、秋物の軽い防寒具を用意して出かけたところが
高緯度地方X高山=涼しいどころか「とんでもなく寒い」。
登山道を万年雪がふさいでる、谷の向こうには氷河が残ってるような場所だったのだ。
一生懸命歩いてる間は体も温まって汗さえかくけど、少しでも止まれば湿った衣服がたちまち冷えて一層寒い。
3時間の散策を終えたときには、両手と顔面が凍傷一歩手前な感じになってしまっていた。
教訓、旅に出るなら敵地の気温くらいはきちんと調べよう。

レイニアの先にあるセントへレンズ火山に寄ろうとナビゲータに道案内を任せたら
一歩間違えば谷底まっ逆さまのとんでもない山道を指示された。
1時間も恐怖のドライブを続けた挙句、ここで曲がれと言われた先はもっと信じがたい崖の上の細道。
結局はそこで勇気ある撤退、噴火口も溶岩流の痕も倒木も見ないまま、同じ山道を引き返した。
このナビには前の晩も騙され、街灯も無い未舗装の道を延々と走ったんだよなあ。
この時点で、拓ちゃんよりももっと役立たずなナビを見限っておくべきだった。
うちに帰ったら即、スクラップだ。

でも、そんなことはどうでもいい。
許せないのは、食い物の恨み。

レイニアのパラダイス地区、前述の氷点下での山歩き。
体の芯まで完全に冷え切った状態で駐車場に帰りつき、その地区ただ1軒の食堂に直行する。
味は問わない、値段も(あまり)気にしない、何でもいいからとにかく熱い物を胃袋に入れたいと思ったのに
そこにあるのはホットドッグ、ハンバーガー、サラダだけだった。
スープは無いのか。湯気の立つスパゲチは無いのか。
辛うじて存在したホットコーヒーは、だけど、人肌程度に生ぬるかった。
あああラーメン食いてぇ豚汁食いてぇ汁粉が食いてぇよお…

翌朝は、宿の料金に含まれてるはずの簡易朝食が提供されず(おばちゃん、寝過ごしたな)
腹の虫をなだめるため、初日にスーパーで仕入れてあった「ワシントン産」林檎を齧ったら
甘くも無けりゃ酸っぱくも無い、香りも無い、林檎か梨か芋か判らない物体だった。
かなりサイテーな気持ちでレイニアを去る。いつか復讐に来るから覚えておけよ。



それに比べれば、次に2泊したオリンピック国立公園は、まあまあ良かった。
前から興味のあったアラバ岬=アメリカ本土の最西端に行けたし
体長15センチもある巨大ナメクジの群れも観光客気分で眺める分には可愛かったし
何より園内に沸いてる本物の温泉にたっぷし浸れたのがシアワセの極みなのであった。
プールみたいなタイル張りの浴槽で、情緒はまるで無かったけれど。
いっそ風呂場を囲む壁もタイル仕上げにして、フジヤマの絵でも入れてくれたらいいのにな。
フジヤマが無理なら、州内最高峰のレイニア山の絵でもいいぞ。
レイニアは、地元の邦人に「タコマ富士」と呼ばれ愛されてる山だから。(タコマ;地名)
もしも再訪する機会があったら、夫の郷里(富山)の土産物屋で売ってる「ケロリン」の洗面器を持って来よう。


  
 左:レイニア国立公園で、晴れていたなら谷の向こうに大氷河が見えるはずの峠。
  今日はあいにくと霧の中。
 右:オリンピック国立公園、アルバ岬、アメリカ本土の最西端。
  フロリダの本土最南端にはそう書いた碑が立って観光名所になってたけど、ここは、なーんにも無し。
  若い男女が1組、ひなたぼっこしてるだけでした。





公園2つをハシゴして大自然に親しんだ後は、シアトル観光。

まずは大型日系スーパー、宇和島屋。
…う…ん。
ダラスの「みのや」に比べたら凄げえけど、(そして今は亡きナナミ、江戸屋、フクヤと比べたら沈黙しちゃうけど、)
やっぱりサンノゼや南加州のヤオハン様(現ミツワ)には逆立ちしたって適わないなあ。
フードコートは韓国や東南アジア系の食べ物の匂いが充満し、日本人の心を刺激しない。
隣の紀伊国屋書店は半分くらい中文書籍に侵略されちゃってるし。
イチローがシアトルと契約を結んだ決め手が「宇和島屋があるから」だったという話を聞いた事があるけど
そんな価値のある店とは思えなかった。
レシートないと駐車場が有料だから、仕方なく晩飯用の「日替わり弁当」と助六寿司を買ったけど
ん…これが仮にダラスに進出してきても、きっと2度と食べない。
あ、でも、一緒に買った黒蜜の豆寒天は美味しかったよん。(日本からの輸入物、ダラスじゃ見たことない製品)

今回の旅行の1番の目玉!な筈だったボーイングの工場見学も、かなり期待外れだった。
広大な作業場に飛行機の胴体の筒切りがデーンと放置されてるだけで、動きが全く無いのだもの。
最初に見せられた「飛行機ができるまで」のビデオの方がよっぽど面白かったよ。
飲食禁止・撮影禁止は仕方ないとしても、財布まで含め私物持ち込み一切不可ってのも参った。
飛行機工場見学を誰より楽しみにしていた鯨のポーは、可哀想に、車の中でお留守番。
あんまりだ、あんまりだ。

工場とは別の場所にある、ボーイング博物館にも立ち寄った。
時間が無くて中には入れなかったけど、ボーイング発祥の地「赤い小屋」は外から眺めた。
でも、屋外展示されてると聞いて楽しみにしていたコンコルドは一生懸命探すも見当たらず、
あとで夫に「コンコルド、居なかったね」と言ったら唖然とされた。
私、コンコルドの前に立って、隣のジャンボ機とポーの写真を撮ってたって。
デジ亀の絵を再生してみたら、普通の旅客機とは違う形の飛行機が、確かに、1機いた。
これがコンコルドかよー。機首が折れてないからわかんなかったぜ…
しかもBritish Airwaysだし。エール・フランスのだと勝手に決めつけてた私が悪いんだけど。
…くすん。

湖から川を下って湾に出る2時間半の船旅は、予想外に楽しかった。
そのときに渡った水門が面白かったので、翌日にもう1度、こんどは車で見物に。
湖と湾の水位の違いを2つの水門で調整する、いわば小さなパナマ運河。
川面を魚がぱしゃぱしゃ跳ねていて、鳥が飛んでいて、
水門の脇には鮭が海に出て/川に帰るときのための通路もあって、
時間が許せばいつまでもボーっと座っていたいような場所だった。
波を模したステンレスの像のそばでポーの写真を撮っていたら
通りかかったお婆さんがポーをキュートだと褒めて下さった。
ボーイングで締め出しを食ってから臍曲げっぱなしだったポー、その一言ですっかりご機嫌。
やでやで。

私が昔大好きだった台所用品屋の本店を見物し、
最近お世話になりっぱなしのアウトドア屋さんの本店を徘徊し、
いつもご愛顧してやってるamazon.comの本社を眺め、
実は大嫌いで普段は絶対に近寄らないスターバックスの1号店に行ってアイス・ラテを飲み、
毒を喰らわばとスターバックスは本社ビル1階のお店にも行ってホット・ラテを買い、
なんだか知らんが8日間で7皿のフィッシュ&チップスを食べ、
(せっかく美味しい魚があるのに、揚げる以外の食い方を知らんのかあいつらは??)
心残りはやっぱり、マイクロソフト本社に行き損ねたことかな?
てゆわけで、ワシントン州内国立公園2つ+シアトルの旅7泊8日、
文句ばっかり書き連ねちゃったけど、それなりに楽しかったよん。


  
 左:スターバックス本社社屋の不気味な時計台。
  毎晩2時になると…とかって怪談がありそうな気がする。
 右:ボーイング博物館から連れてきたジャンボジェットの「ジャン坊」。
  値札には単にB747としか書いてないけど、主翼の先が立ち上がってるから、正確には747-400ですな。
  ♪ぼくの名前はジャン坊♪ぼくの名前はマー坊♪ …って、お前の動力はディーゼルかよ^^
  「ぼく本当はバスになりたかったの、飛行機こわい、鉄の塊が空飛ぶなんて嘘だ」って
  安心しろお前は鉄じゃなくてポリエステルの塊だーっ。



シアトルから帰ったのは土曜の夜、日曜は疲れて寝て過ごし、月曜は片付け、
そして火曜の朝から夫はオレゴン州ポートランドへ出張に行きました。
ポートランド空港の滑走路の北側には川が流れていて、
その川を越えると対岸はワシントン州です……オツカレサマ^^


ホッケの季節
待ちに待ったホッケーシーズンの始まり。
今年から試合用ジャージーの素材が変更になり、それに伴い意匠も一新。
その新ジャージーを選手に着せて、入場無料のお披露目会がありました。
当日はスケートリンクも無料開放、さらになんと太っ腹、貸し靴も無料!
この機会を逃しちゃならんと張り切って20年ぶりの滑走に挑んできたです。

いつもは我等がスターズ選手が颯爽と飛び出す星型の門から、今日は私が滑り出す。
本当はそのまま、ちょーちょのよーにくるくるとトリプルなんとかでもやってみたかったのだけど
残念なことに、用意された靴は全てホッケー用の靴。
つま先にギザギザがついてないから踏み切りがきかないの。
(あれ、それともアクセルなら跳べるのかな?)
「ユリは、ホッケー用のブレードでそれに成功したんだ」って新種のジャンプを考案するのも一興ではあるけれど
まあ今日の所は大人しく、リンクの囲いに掴まって歩くだけにしておきました(とほほ)

新ジャージーは、いまいちでした。
去年までの星型裾模様のジャージーの方が断然良かったと思うな。
そのうち、売れ残ってる分の値下げ放出が始まったら、買い溜めしちゃお。


公開練習の見物にも行きました。
公式戦は一番安い天井桟敷席からしか観戦できないから
リンク際で生のド迫力を体験できるのは開幕前の練習だけなのよね。
カントクがスケート靴履いて氷の上にいる姿だって、シーズン中はまず見られないし
練習見学、大好き。
唯一の欠点は、紅白戦では殴り合いの喧嘩が絶対に始まらないこと。
約1名、何か相当に頭にきたらしく、スティックをリンクの囲いに叩きつけてへし折ってた奴はいたけども。
いっそ殴り合いの練習を公開してくれればいいのになー。


これで年末掃除は無しね
ほぼ2年半ぶりで、台所の大掃除。
2年半分の油が焼けこびりついた五徳4つと汁受け皿4枚を磨き上げる。
1ポンド≒450g入りの重曹を2箱カラにし、竹箸を3本潰し、1週間かかって見事全てがぴかぴかに。
でも、引き換えに、両手の指はぼろぼろ。
合成洗剤なら原液を塗ってもびくともしない丈夫な皮膚なのに、重曹には呆れるくらい弱いのよねえ。
空調の風に舞って床に散った微量の重曹を面倒だからと放置してたら
それを踏んで歩いた足指と踵もぼろぼろ崩れちゃったし
きわめつけ、磨き物に精を出す間、重曹まみれの作業台に左の肘をついていたら
肘の皮が広範囲に渡ってずるりと剥けて大出血。
反省すべきは
 ・掃除に1週間もかかるほど汚れを溜め込んでいたずぼらさ
 ・重曹に弱いことを知っていながら長袖割烹着を着る等の対策を執らなかった危機管理力の無さ
 ・仕事しながら片肘を付くという行儀の悪さ
さあどれでしょう。
そーいや昔、閉め切ったクロゼットの中で棚の桟をアルコール使って1本1本拭き上げていて
気化したアルコールで酔っ払って倒れるってマヌケをやらかしたこともあったっけ。
ドイツ製の、とっても良く吸うけどとっても重い掃除機で腰を傷めたりもしてるし
結局、私は掃除に向いてないってことかしら?
お掃除おばさん頼んで面倒を全部任せられる優雅な身分になりたいな。
(でも、そのお掃除おばさんは土足で家に入ってくるわけで。
結局あとから自分で掃除機かけ直し? 意味ないぢゃん^^)


8月


ダクワーズ、という菓子がある。
アーモンドの粉を混ぜたメレンゲを焼いて、ジャムやクリームを挟む。
私の大好きな菓子だ。
ふと思いついて、この生地をマドレーヌ型に流して焼いてみた。
マドレーヌのダクワーズ、略してマドワーズ。
…一生に一度の自虐菓子。Feliz Cumpleanos.


よるとしなみの所為?
例年よりは、ずっと涼しい今年のダラスの夏。
なのに、何故だか体がだるい。
これまで過ごしてきたどの夏よりも、つらい。
最近は、刻んで冷凍庫に放り込んである西瓜が主食な状態である。
蛋白質の補充はアイスクリームで。
西瓜だけでは足りないビタミンを冷凍オレンジジュースで。
夏バテ解消スタミナメニューをこさえるには、まず体力が必要なのね。
はやく秋にならないかなあ…
(でも、夏涼しく冬寒い土地に移る意思は全くないの。どんなに暑くてもダラスが好きよ)
踏破33州目
今年の夏の旅行は、ワシントンに決定。
首都ワシントン「D.C.」ではなく、西海岸のワシントン「州」の方ね。
オリンピック国立公園、マウント・レイニア国立公園、ボーイングの工場見学。
季節が良ければさくらんぼ狩りや林檎狩りも楽しめるのだけど、今は無理っぽい。
マイクロソフト本社まで足を伸ばせたらなかなか楽しいお土産屋さんがあるみたいなんだけど
ちょっとばかり経路を外れるので、こっちも残念。
でもスターバックス1号店でコーヒー飲んで、「世界最大の本屋」amazon本社を眺めて(お買い物はできません、くすん)、
そして最後はシアトルの大きな日系商店で楽しく買い出しさあ♪
ダラスには無い細かな日本食材料と、和食器、そして日本の本!
こたつも売ってるみたいだけど、本体だけ買っても布団が無ければ使えないし
本体+布団じゃ飛行機の預託荷物の大きさ制限に引っかかるし
これは流石に無理かなあ。(でも欲しい)。

飛行機マニアの鯨のポーは特別優先枠で参加決定。
アウトドア用品屋の本店がシアトルにあるので、その競合店出身の「金時」も対決しにに行きたいそうな。
オリンピックで入浴予定なので温泉好きな黒熊と、「わしん豚!」と絶叫中の豚たちと、
今回もまたリュック1個がぬいで一杯。
奴らがいなけりゃ旅行もちっとラクなのにな…


7月

「西暦2008年、7月」
人類が滅亡の危機に直面するまで、あと1年である。
幸いにして、「核兵器をはるかに超える超磁力兵器」は未だ開発されていないようだけど。(『未来少年コナン』)
んで。

滅亡1年前を記念して、秘蔵の『コナン』ビデオを久しぶりに鑑賞しようと思い立った。
20年近く前に録画して、たぶん10年ぶりくらいの再生。
中途半端な状態で止まっているテープをまずは先頭まで巻き戻し……
と、数秒後、機械内部でゴゴゴゴゴッという音がして、テープの送りが停止してしまった。
恐る恐る取り出してみると、うわあ、中身がぐしゃぐしゃ。
皺になったテープが軸に出鱈目に巻き付いてる。
これじゃ、もう再生できないよ。大事な大事なコナンだったのにぃ。くすん。
まあ、テープなんて、遅かれ早かれ、いずれはこうなる運命なんだけど
でも、今日はともかく、来年7月の本番上映会が出来ないのは大ショックだ。
DVDが出てるのは知ってるけど、次の帰国は来年秋頃の予定だから間に合わない。
来年までに米国内でも発売してくれたら助かるけど、ジムシィの喫煙場面とかあるし、無理だろうな。
最悪、海外発送可の業者を探して通販で購入、かなあ…


拓ちゃん失業
夏休みの旅行を前に、長年の懸案だった「本物の」カーナビ、GPSを購入した。
予算の都合で日本語音声への切り替えはできないし、日本の地図も入ってないけど
とりあえず、米国内ではもう迷わない。 …少なくとも、迷う回数は減る。
30分先の町にチェーンのファミレスがあると判れば今ここでマクドナルドなんか食べずに済むし
GPSさま、有難う。

となると、「ありげーた・なびげーた・間違げーた」の三段活用でお馴染みのカーナビGator拓ちゃんは、ご用済みである。
夫から地図係長解任を申し渡された拓ちゃん、さぞ凹んでいると思いきやさにあらず。
係長じゃなくなった→課長に昇進♪と思い込んでいるらしい。
課長は偉いから上の地図でなく電子地図を見て道案内できるんだとさ。
新品まっさらのカーナビ本体の裏に「たく」と書いた名前シールまで貼っちゃって、拓ちゃん、ご機嫌。
前向きな奴って、うらやましい。


Saturday Beef
土用の丑、である。
例年は中華系のスーパーで中国産冷凍鰻を買って食べていた。
が、今年は、流石にちょっと遠慮したいなの気分である。
かと言って中国産でない鰻なんて手に入れる術は無く
鰻なしで土用を過ごすことも日本人として考え難く
(平賀源内のばきやろー!!)
どうしようかと困り果てていたら、台湾産の缶詰で紅焼鰻というのを発見した。
よし、今年の鰻はこれに決まり。二缶購入してみた。

缶の中身は、甘辛く味付けされた、脂気が全く無いぱさぱさ・ぽろぽろの正体不明の蛋白質だった。
身欠き鰊に似ているような、いないような。
蕎麦の上に乗せたら京都の鰊蕎麦みたいで結構いけるかも。

解してご飯に混ぜたら不味くはなかったけど、でもやっぱり、私の食べたい「鰻」とは違う。くすん。
中国産でも構わない、冷凍鰻にすれば良かったな。
半年前までは盛大に中国食品を摂取してたんだもん、いまさら鰻の1尾2尾で変わりゃしないっしょ、ね?


中国産生姜がどーのこーのの報を受け、予定していた豚の生姜焼を取りやめた。
まとめて買って小分けで冷凍して、昨日まで普通に食べてたのと同じ生姜。
数日たってほとぼり冷めたら「捨てるの勿体無い」と言って食べちゃうに決まってるけど
今日明日位は生姜味を忘れたいなと。
で、代わりに作ったのは鶏団子の煮物。
人参、椎茸(韓国産)、水煮の筍(製造業者は日本だけども実際の加工は中国)。
美味しく食べて、歯の隙間にはさまった筍の繊維を舌先でいじりながらネットに繋いだら
中国産の筍がどーのこーのという報道が流れていた。
もう、知らんがな^^


6月

鬼が笑う
6月の製菓は忙しい。
鮎を焼き(そのためには求肥も作らねばならず)、紫陽花羹を固め(白餡の漉し餡をこさえねばならず)、
水無月を蒸し(上に乗せる豆は正月の黒豆を冷凍してあるのでこれはラク)、
これだけでもそこそこ大変。
それなのに、それに加えて。
夫の郷里(富山)の地方紙「北日本新聞」のweb版を読んでたら、こんな記事が出てた。
6月1日、富山の日枝神社の祭礼の日、富山では「朔日饅頭」つうのを食べるんだと。
それを食べると腹の虫に効くんだと。
夫に聞くと「そんなん知らんぞ」と一蹴されてしまったが、私としては興味津々。
今年は間に合わなかったけど、来年の6月は饅頭もこさえるぞ。


桃栗3年ピカンも3年
04年の3月に植えたピカンの樹が、今年初めて、実を結んだ。
結構たわわ。
雨に負けず、風に負けず、リスに食われず、立派に育つといいな。
秋になったら、このピカンでピカンパイを焼こう。
もし量が足りなかったら法蓮草のピカン和え。
それも無理ならピカン入りのマフィン。これなら3、4粒あればいいからね。
それも無理なら…泣くぞ。

桃は3年目を待たずに枯れてしまったし、檸檬も1年限りで駄目になったし、
ピスタチオは未だ雄雌の区別さえつかない、イチジクは樹そのものは元気なのに実ができない、
せめてこのピカン位は収穫を存分に楽しみたい。
一応「州の樹」だし、気候条件は悪く無いはずだもん。
期待するです。


パワフル・コンポジション
久しぶりに、入場料分めいっぱい楽しめる映画を見ました。(二番館で$1)
『BLADES OF GLORY』男2人のペア・スケーティングの話。
徹底的に馬鹿馬鹿しくて、でもほんのちょっぴり、ホロッときます。
スコット・ハミルトン出てたし、ナンシー・ケリガン出てたし(でも私はハーディングの方が好きよ)
佐藤有香も出てたらしいのだけど見つからなかったので、DVD買って探そうかなとか思ったり。
かなり下品で性的な冗談が含まれ、薬物使用場面があり、暴力もあるので
米国ではPG13指定(13歳以下は保護者の指導の下に視聴)になってます。
規制内容には含まれないけど、人種/民族差別を助長しかねない場面もあったし、
老若男女誰彼かまわずオススメ!って訳にはいかないですが
14歳以上で馬鹿馬鹿しいのが好きでスケートに興味がおありなら、機会があったらご覧ください。
個人的には、この監督で「わはは」や「メイプー」を撮って欲しいな。


5月

私の中身はアブラが大部分ですが
メラミンが入っていようが鉛が溶出しようが、そんな事、いちいち構っていられない。
煮干も胡麻も筍の缶詰も真空パックの蓮根も、中国産しか無いんだもん。
選択肢があれば、日本の業者が中国工場で作った物を選ぶ。
でも、選択肢が無ければ、中国の業者が中国で作って中国の業者が輸入した物で我慢するしかない。
気にならないわけじゃないけど、気にしたからって毒が消えるわけでなし
虚勢を張って笑い飛ばして、中国製冷凍牛蒡とアメリカ牛の炒め物を中国製の皿に盛って食べる。
大丈夫、私の生命線は結構長いんだ。

だけど、わはは。
いっくらなんでも、こりゃ無いでしょう。
中国製ぬいぐるみの詰物に産業廃棄物(爆笑)(←自棄)
ここ6、7年ほどの間にうちに来た若いぬいたちは、ほぼ全員が「made in China」「product of China」だ。
中国生れでないのは、井上なつおさんの手から生まれた米蔵・胡麻蔵・粟蔵の3ちびくまだけだけなんである。
古参ぬいたちはお腹の「ぴらぴら」を切除してあるので出自の確認はできないが
まあ、かなりの割で中国から来たんだろうと思う。
母の手作りの「ホワー」、姉の手作り「リダ」「イーヨー」、そして私自身の手による「ジップ」の中身は、本物のパンヤや布屑だ。
熊の光一は米国製、「ビルド・ア・ベア」で私自身が綿を詰めたんだから間違い無い。
(その綿が中国から輸入した危ない再生繊維って可能性は残るけども
少なくともラーメン空き袋が詰まってないことだけは確かだ)
もぐらの「もぎゅ」は「やまね工房」の子だから、日本産と信じていい筈。
でも、それ以外の数十匹は。
この愛煙猫、お腹にシケモクを抱いてるのかなあ。
このシマウマの頭の中にはどんなゴミが詰まってるのだろう。
この犬は、このパンダは、このアルマジロは。
頭の頭痛が痛いのを必死でこらえていたら、そばで豚2匹がはしゃぎはじめた。
「ぼくのつめものはー、くしかつの、くしー」「ぼくのはー、にくまんの、うらの、かみー」
「かつさんどの、はこー」「やきぶたの、たこいとー」「とんこつすーぷの、だしがらー」
…こいつら、明日の生ゴミに出してやる…


(日本で紹介される外国料理も目糞鼻糞ですぜ)
テレビをつけたら、私が今一番気に入っている料理番組をやっていた。
先生の包丁捌きが上手、盛り付けがキレイ、簡単で安上がりで美味しそう♪…ではない。
玉葱切りながらいきなり泣き出して番組中断、油が跳ねたと言ってはギャーギャー騒ぐ、
用意された大量の唐辛子を1度に全部鍋に放り込んで味見して「…か、辛い」と涙してまた番組中断。
彼女の料理が余りにひどいため、私の方がずっと上よと自信が持てちゃうから大好きな番組なんである。
どうやら夫も彼女の番組は好きなようである。
ウチのオクサンだってこれよりはマシだよなとでも思ってくれているのだろう。

今日も例によって滅茶苦茶な一皿を仕上げた先生は微笑んで仰る。「次に作るのは、日本の料理"キャッツドン"です」
? 夫婦2人で一瞬、顔を見合す。ネコ肉のせたCats丼は、あんまし食べたくない。
カツブシのっけたネコ飯丼ならまあいいけども、それを日本の料理と言われても困るような。
ああ、そうか、きっと"カツ丼"だぁ。
…どんな似非カツ丼ができるか、半分戦々恐々。半分興味津々。
もう、チャンネルは変えられない。

コマーシャルを挟み、先生はいよいよキャッツドンを作り始めた。
(あ、キャッツドンのアクセントは「キャ」に置いて読んでね)
鍋の中に、真っ黒な液体を注ぐ。
出汁と醤油を合わせた物と言っているが、ほとんど醤油そのままの色に見える。
そこに、少し黄色っぽい透明な液体を少し。
酒かな、もしかして味醂かな、と思ったら
「ジャパニーズ・ライス・ビネガー」と説明が付いた。
なんで米酢がカツ丼に入るのさ(笑)
続けてあと幾つかの調味料が入ったようだが、ビネガーに度肝を抜かれていた私は見損ね・聞き漏らしてしまった。残念。
この時点で、米はたぶん炊飯器で炊いてあるのだろうが、まだカツは揚がっていない。
にもかかわらず、彼女はチャカチャカと卵を溶いて、米酢入りの醤油の鍋に卵を入れてしまった。
そしてそれを、泡立て器で盛大に掻き回す。
鍋の中には、掻卵汁を醤油で煮しめたような物が出来上がった。
そして豚肉を揚げて、ご飯に乗せ、上から真っ黒な煮しめ掻卵をかける。
「おいしい!」と彼女は言った。
食肉であることを無上の誇りとする豚ぬい2匹が、「ぶたにくにたいするぼーとくー」「くー」と怒った。
私は今見た番組を忘れてしまいたいと思った。
でも、未だその思いは適えられずにいる。


テレビ局のサイトで過去の放送内容をみると、綺麗な黄色い卵の乗ったカツ飯の写真が出る。
配合表を確認すると、米酢なんて文字列はどこにも無い。
だしの半量の醤油、醤油と同量のmirin(sweet rice cooking wine)という、やや濃い目ではあるが真っ当な味付けである。
(カツを煮て卵で綴じるという工程が無いのは私が見た番組と同じだが
卵綴じという調理法は実は結構難しいものだし、まあ、仕方ないかなと許す。)
…夫婦ふたり+豚2匹で真昼の夢を見ていたのだろうか。
いつか、あの番組の再放送が入るのを待ってしっかり確かめたい。


4月

お花見帰国 07

時差ぼけ100%、朝は4時(下手すりゃ3時)に目を覚まし、時間を持て余すのが日本滞在中の私。
買い込んだ日本食材や日本語書籍の荷造りとか荷造りとか荷造りとか、やるべき仕事は沢山あるけど
生憎、私の実家は公団住宅の二階の一室。
こんな時刻に騒音を出しちゃ、一階の住人に大迷惑だ。
布団に潜って本を読むくらいしかできない。

ホテル滞在中は部屋にテレビがあるから少しマシだけど
薄い壁の向こうで普通に眠っているであろう隣室の人を気遣い、音量はゼロ。
語学番組もアニメもニュースも、これじゃ何だかさっぱり判らない。
ぼけーっと画面を眺めていたら、やがてNHKテレビ体操が始まった。
あ、これなら脳内で音楽鳴らせるわ^^
テレビの中のお姉さんたちに合わせ、布団に入ったままで腕を振り回し、ひざを曲げ伸ばしてみる。
体操は終盤に近づき、「両脚跳びの運動」が始まった。
と、そのとき、
上階からドンドンドンという大きな音が聞こえてきたのだ。
脳内で鳴ってるテレビ体操の音楽にぴたりと合う拍子で。
「開いて、閉じて、開いて、閉じて」の部分では微妙に音が変わったりして
跳躍運動の終了と同時に、その物音もぴたりと止んだ。
わはは。ホテルの部屋でこんな時刻にそんな音出しちゃいかんよ10階の貴方。
NHKも、字幕を流すべきだよな。早朝ですので集合住宅等にお住まいの方は跳躍はご遠慮ください、って。
あ、でももう6時半、そろそろ活動始めていい時間帯なのかな?
…ひとふろ浴びてこよーっと♪
てわけで、私の日本旅行の始まり始まり。


日本旅行日程が正式決定した数日後、夢を見た。
夢の中では、出発はもう翌日に迫っていた。
荷造りと、留守になる家の冷蔵庫や食品棚の整理とを終え、少し休憩。
パソコンの電源を入れてネットに繋いだ私(@夢の中)が見たのは、ニュース速報の橙色の帯だった。
「横浜 震度7」。私の体は凍りつく。
…横浜から30km、私の実家はどうなっているだろう?
東海道線は、動いているんだろうか。
揺れと停電で東京・横浜は滅茶苦茶だろうし、予定通りの買い物・飲食はできる訳ないよな。
なんだかもう、日本に行っても仕方がない気がする。余震も怖いし。
いっそ成田の滑走路に歪みができて飛行機が欠航すれば、旅行中止・全額払い戻して貰えるのに。
まて、天災による欠航は航空会社の免責で、払い戻しは出来ないのかな?
ちくしょおっ、俺は横浜中華街の謝謝のランチを食べてぇんだよーっ
と私(@夢の中)は吼えているのであった。
目が覚めてから自己嫌悪。
被災地近くに住む老親や叔父叔母を案じ、大急ぎで切符を取って緊急帰国するのが普通じゃないか。
あああ。私って。


そして時は流れ、現実世界。
私の夢は予知夢なんかではなく、関東地区に地震は来ず、私は東京に来た。
本屋7軒をハシゴし、リュックが食い込み肩が痛い。腰が痛い。足も痛い。
宿に戻ったのは夜7時、くたくたの体を寝床に投げ出した途端に電話が鳴った。
実家の母親からの外線。
「さっき富山に電話したらね、無事だって言うから」
は?????
富山は夫の出身地、しかし奴はあと1週間しなきゃ日本に来ないし、何で母が富山に電話する?
それで、無事って、何が。誰が。何の話かまるで判らん。脈略なさすぎる。
ただでさえ電話嫌いな私、疲れてるところに意味不明な言葉を投げられて、かなり不機嫌である。
そんなことにはお構いなく、母の一方的な話は続く。
「なかなか電話つながらなかったんだけど、さっきやっと通じて…花瓶が倒れた程度で、怪我も無いそうだから」
…なんか、少し、様子が分かってきたような気もする。もしかして。大地震でもあったかい?
考えるより先に、右手がテレビのリモコンを掴む。
チャンネルは朝見たままのNHK。すぐにニュースが入ってきた。
金沢、震度6。どっひぇー。
朝、本屋で立ち読みを始めた頃、少しめまいがして体が揺れたような気がしたが
あれは寝不足と疲れによるふらつきでなく、この地震だったのか…
何も知らず、丸一日遊びほうけていた私。顔が少し痺れ、心臓が変な風に踊る。

母の話から判ったのは、とりあえず義父は元気で、家屋にも被害は無かったらしいということだけ。
近隣に住む義兄一家、義叔父たちの消息はわからない。
ガスは、水道は、通じてるのか。
3月の富山は暖房無しでは辛いはず。電気はちゃんと来てるのか。
最初の大揺れで弱った家が、続く小さな余震で倒壊って危険もあるわけだし
来週、夫が日本に来て富山に行った後、少し遅れて私も合流という計画を撤回したくなってきた。
できるなら、富山、行きたく無い。夫にも、行って欲しくない。
…お義父さん大丈夫ですかっ、おうちの片付け手伝いますねっ、と急ぎ駆けつけるのが普通じゃないか。
やっぱり私って駄目だ。しょぼん。


結局の所、富山には予定通りにちゃんと行った。
夫の家は、本当に無被害だった。
テレビの上の人形ケースの中の人形が傾いただけで済んだのだった。
とりあえず、良かった。
でもいつか、そう遠くない日に、東海地震、関東地震は必ず起こる。
そのとき私はどうするだろう?
出発前の夢の中の私。東京の宿でテレビを凝視する私。なんだか考えてしまうのである。

まあ、自分の親族の一大事にはダラスからでも飛んで行く癖に夫の身内の被災には日本滞在中でもそ知らぬ顔、って訳じゃない、
どっちの側にも平等に公平に対応してるんだから、そこは許してよね^^


今回の旅行の最大の目的は、桜。
今年は春が早い、3月半ばには満開かも、の報道を受け
慌てて日程を前倒ししたくらいに本気の花見帰国だった。
日本の桜は、1999年に見たのが最後。
2000年の春にはダラス市内至る所で涙が出るほど綺麗な桜並木を見たけれど
翌2001年春、それは実は桜ではなく梨の花だったことを知ってしまった。
一昨年の春にはワシントンDCまで行ったけど、1週間ほど早すぎてまだ蕾だったし
結局、1999年以降、私は1度も本物の桜を眺めていなかったわけだ。
8年ぶりの桜。弥が上にも気合が入る。

まずは到着の3日後、3月24日が、ぬいぐるみさんお花見大会。
求肥丸、くぷ太、御飯田、米蔵、隆、どど、ニッキ、降太、前田くん、安代、の計10匹(五十音順)を連れて参加させていただいた。
残念ながら新宿御苑の桜は少し早すぎたけど
いいんだ、私は花より団子。
長年の憧れだった「なつおさんの桜餅」を3つもたいらげ、幸せだった。

3月28日、横浜のパン屋で道明寺の桜餅を包みこんだパンを買って、翌日の朝飯に食べる。
31日、実家の隣町のデパートで、桜風味の白餡を巻き込んだ和風ロールケーキを買って、食べる。
4月2日、京都の和菓子屋さんで、桜をかたどった極上の練りきりを頂く。
同日、神社の境内に花見客をあてこんで並んだ屋台で、蛸焼きを買って、食べる。
同日、桜風味の白餡を包んで上に塩漬け桜を飾った餡ぱんを京都で買って、翌日の朝飯に食べる。
3日、昨日とは別の京都のパン屋で、道明寺の桜餅のパンを買って、翌日の朝飯に食べる。
幸せ。幸せ。あああ、幸せ。
なんか、違う気もするが… 幸せ。


東京都庁の裏の大きな公園の桜はとても綺麗だった。
中央線の社内から見た外堀の桜も良かった。
浅草寺の桜、京都は八坂神社、清水寺の桜、富山は高岡城址公園の桜、みんな素敵だったけど
一番心に残ったのは、京都・円山公園の夜桜だった。
正確には、夜桜の下にビニールシートを敷き、飲めや歌えや大騒ぎしていたニッポン人たちの姿。
イカ焼きの匂いが流れる。焼きそばの鉄板がじゅーじゅー音を出す。
地面には綿飴の割り箸が捨ててある。そして、ところどころに吐瀉物。
そうだ、これが私のニッポンだった。
お土産屋さんの絵葉書には決して写されない、本当の日本の花見。
この空気を、ダラスに持ち帰りたいなと思った。

そしてもう1つ、私の育った公団団地の桜並木。
私の家、築40余年のコンクリ住宅は、今年から順次取り壊し・建て換えが決まっている。
敷地内の特に大きな・重要な樹木は新築後の団地に移植されるけど、主要で無い樹木は切り倒される。
大多数の「どうでもいい」桜たちにとっては、この春が最後の春だったのだ。
既に住人は全員退去し、公園のぶらんこにも道端のベンチにも人影は無い。
からっぽの町に、風が吹く。花が散る。いつもの年なら人に踏まれ、自転車に踏まれ、汚らしいだけの桜吹雪の道が
今年は真っ白な絨毯のようで、とってもとっても綺麗だった。
鳥につつかれ、5弁揃った完全な姿で落ちていた花を手帖に挟み、ダラスに持ち帰った。
(と思うんだけど、見つからねえんだよお^^
手帖じゃなくて、文庫版地図帳だっけ?そいともあの日買ってリュックに入ってた岩波文庫?
ミツカラネエ…


 
左:これは熱海の桜。日本では4月1日、でもダラス時間じゃぎりぎり3月31日。
  3月は革命のシーズンですが、熱海の桜の下に落とし物はありませんでした。
右:旅の第2の目的は筍でした。
  京都の筍料理屋さんの裏の竹やぶで、笹に食らい付くパンダの御飯田(ごはんだ)。


秋葉原を歩けばインド人に英語で道を聞かれ、数分後には中国人に中国語で話しかけられる。
新宿のホテルに入れば「チェックインですか?」と英語で聞かれ
成田空港の手荷物検査でも「開けて宜しいですか?」とまた英語。
「はい」と日本語で返事をすると、相手は一瞬めんくらった顔になる。
わたしゃ一体、どこの国の人間に見えてるんだろう。
きっと中国人、または中国系のアメリカ人やカナダ人。
もしかしたら韓国人・韓国系アメリカ人。
あ、でもまだ「日本語お上手ですね」と褒められたことは無いぞ^^
…というのが前々回の帰国時までのあらすじ。
はるばる北海道まで訪ねて行った私を出迎えてくれた姉と姪っ子に
開口一番「…日本人に見えない」と言われたのは前回帰国。
そして、今回は。

日本滞在最終日の朝はやく、私は1人で新宿西口を歩き回っていた。
駅前のコンビニで最後の買い出しをしたかったのだ。
突然、2人の男が私の前にたちはだかり、私の進路をさえぎった。
片方の男が「ちょっと宜しいですか」と言った、と思う。
もう片方の男が私の顔の前にさっとかざしたのは、黒皮に金ぴかの模様のついた警察手帖。たぶん。
仮に今私の鼻先にあるのがが偽警察手帖だったとしても、私に判別つくわけない。
警察手帖なんてテレビドラマでしか見たことが無いのだから。
偽の警察手帖を見せて1人歩きの若い女性に声をかける男がいたら、たぶんそいつは悪人だろう。
こいつは警官なのか、悪人なのか、どっちだ?
(ちなみにお巡りさんの制服は着ていなかった)
大声を上げるとか急いで逃げ出すとかの行動は咄嗟にできず、素直に大人しく立ち止まってしまう私。
まあ、偽パトカーに連れ込まれそうになったらそのときは絶叫しよう、とか思いつつ。
片方の男が言う。「実はちょっと今、人を探しているんですけどね」
もう1人が言う。「大変失礼ですが、お名前を聞かせていただけますか?」
さあどうする。警官のふりした悪人には絶対に名前なんか教えたく無い。本物の警察にも、あんまし。
でも鞄の中には日本国旅券、およびテキサス州発行の写真付き身分証が入ってる。
今ここで偽名を名乗ることの利点は殆ど無いだろう。
仮に本物の警察相手に偽名なんか使って余計な揉め事を起こしたら寧ろ厄介なだけだわな。と瞬時に判断し
不承不承、「はあ。XXXと申しますが」と戸籍名を答える。
と、2人の男、「あ、失礼しました人違いでした」と笑顔で挨拶するや、たちまち消えてしまったのであった。
…今の、何?
彼らが探していた人は、逃亡中の容疑者?捜索願いの出ている家出人?
どっちにしたって、私がその彼女なら、警察相手に本名なんか教えるわけが無い。
「XXXです」「ああ人違いでした」って、まるで意味がないじゃないか。
ああ。頭の弱い人が施設を出たまま戻らない、道が判らなくなっている可能性が強い、なんてのを探してるのか?
でも、それなら、家に帰れなくなった彼女だっておおいに困って助けを求めたい気持ちでいるはずだから
警察手帖なんか提示しなくとも「OOさんですか」と声をかければ済む話。
やっぱり今の出来事の状況と合致しない。
何だったんだ、何だったんだ。
これが推理小説なら、奴らはやっぱり悪人で、今頃は私が教えた名前を使ってホテルから夫を誘い出している筈だ。
念のため電話して、夫の無事を確認した方がいいのかな?
あ、でも、ホテルの電話番号、知らねぇや。部屋番号も覚えて無い。
公衆電話も見当たらないし、ま、いっか^^
そんな手の込んだ犯罪に巻き込まれるような、身に覚えがないしね^^;

結局もちろん夫は無事で、昼飯を食おうと約束していた待ち合わせ場所に定時に無傷で現れて
「さっき、そこで、変な男2人に名前聞かれてさあ」という私の話に付き合ってくれた。
「本名答える筈の無い手配者を、身分証の確認もしないで解放しちゃうなんてあり?」と私が問うと、夫はにっこり笑って即答。
「そりゃ、探してる相手が日本人じゃなかったんでしょ」
え?
「日本語で話しかけて日本語の返事が淀みなく返ってきたら、探してるのとは別人ってことで。
答えた名前は鈴木でも山田でもカワハラでも全く関係なかったんだと思うよ」
ああ…そうですか^^
ついにホテルマンや空港職員のみならず、本物の警察(または本物の犯罪組織構成員)にまで非日本人扱いされちゃいましたか私。
偽造日本旅券を所持した東アジア人として成田の入国審査で捕まる日は近いぞ。
乞うご期待^^;


前回の帰国以後、親に買いおいて貰った本、通販で買っておいた本が一山。
3週間で買い漁った本が一山。
実家の転居に伴って発掘された古い本が一山。
段ボールにぎっしり詰めてダラスに持ち帰る。
この段ボールというのが曲者で、これを引きずってると米国側の税関でほぼ確実に問い質されるのだ。
「中身は何だ?」
本、と夫が答えると、追って更に聞かれた。「Why?」
何故って言われたって、読みたいから持って来たのよ。本を読むのに理由が必要なのかしら。
夫が「これらは日本語の本である、日本語の本はUSAに売ってないから日本から持ってきた」と説明したのだけど
税関職員、ちっとも納得してない様子。
こいつ、本を読まねぇ奴だな、きっと。
職員と夫のわけわからん会話を聞きながら、私1人の入国時にこんな馬鹿官吏に遭わずに済んで良かったと胸をなでおろし
私の日本旅行は終了した。
楽しかったよ。早くまた行きたいな。
次はたぶん、08年の鮎、または秋刀魚の季節。


3月

不二家販売再開間に合ってよかった♪
てわけで、苺ショートを食べに日本へ行きます。
それよりもっと大事な目的は筍と桜餅です。
地元の町の和菓子屋さんの桜餅も買うけれど
長い間こがれ続けていた「なつおさんの桜餅」にありつけそうなので
今からとてもとても楽しみです。
時間があったら柴又の草団子も食べに行きたいなあ…


日本旅行のときはいつも、生地が薄くなって穴があき、ゴムも伸びきった古下着を持っていく。
靴下はズルズルのデロデロ、ブラウスも擦りきれて染みだらけ。
それを穿いては捨て、着ては捨て、最終的に帰りの荷物には服は1枚も入っていないのが普通の状態だ。
遊び歩いて疲れた夜に、ホテルの風呂場で石けんで手洗いなんかしてらんないよ、という理由もあるが
少しでも多くの日本の活字、日本の食品をダラスに持ち帰りたいというところが大きいのである。
ぱんつだの靴下だの、邪魔なんである。
のに。
06年の12月に、義母の一周忌のために帰国した。
そのわずか7ヶ月後、06年7月に映画鑑賞のため帰国した。
そして、またほんの8ヶ月しかおかずに帰国が決まり
…げ、ぱんつが無い!
捨てるにゃ惜しい、まだ充分現役な下着しか無いんである。
参ったなあ。
食糧貯蔵庫にはまだ夏に買った日本食が残ってるし
お腹にも夏に豚カツや天婦羅や蜜豆たべて蓄えた脂肪が残ってるし
やっぱり帰国は最低でも1年、間隔をあけなくちゃ。


ダラス帰着は来月11日の午後。
NHL(北米プロアイスホッケー)プレーオフの開幕日です。
我がダラス・スターズは、これからよほど悪夢の大連敗をしない限り、その決勝トーナメントに出場できる見込みで
「ダラス主催のプレーオフ全試合セット」の切符も手配しちゃってあるのだけれど。
万が一、これから奇跡の大連勝を続けてリーグ上位でレギュラーシーズンを終えてしまうと
トーナメント初日の第一戦がダラス主催になってしまうので
空港から競技場に直行しないといけなくなるらしい。
いや、肝心の切符がまだ手元に無い、留守中に発送されて、局留めになるはずだから
空港→郵便局で切符を受け取り→大急ぎで競技場、か。
2人分の荷物は車のトランクには収まりきらず、いつも後部座席に積み上げるのだけど
夜の無人駐車場に大荷物丸見えの車を置いておくなんて無用心すぎるし
そすっと、やっぱり荷物を置きに家に戻らなきゃならない?
試合開始に間に合わねえよ…
どうか第一試合が敵地開催になりますよう、ダラスが適度に負けてくれることを祈るです。
あんまり負けてプレーオフ出場を逃すのは困るから、あくまで適度に、ね。

では♪


2月

「マユがあ」
2月の製菓は勿論(?)鶯餅で始まる。
粉やら餡やら黄粉やらを揃えながら、口ずさむのは調子っ外れの「早春賦」。
たにいのううぐいいいす、うたあはおもえどおおおと唸りつつ窓を見たら、外に雪が舞っていた。
それに気を取られていたら、なんと鶯の生地に砂糖を入れるのを忘れちまった。
どうしよう。でも、中の餡子はちゃんと甘いし。
甘い餡+甘くない米+黄粉の組み合わせなら、お萩と同じじゃん?
だいじょーぶだいじょーぶ、とそのまま仕上げてしまう。
鶯きなこを振って、少し色が悪いので上から抹茶も振って、
思いついて更に上から粉砂糖を散らしてみた。
雪に凍える鶯、今日も昨日も雪の空餅。
(題名については白泉社ジェッツコミックス『レナード現象には理由がある』川原泉 参照)


「せめて切って食ったらどうなんです」
山芋のすりおろしと上新粉、卵白を主材料に、白いパンケーキを焼く。
卵焼きパンを使って四角く。
残った卵黄は砂糖を加え、甘い甘い炒り卵にする。
パンケーキの端に粒餡・胡桃・乾燥蓬を戻したの・炒り卵を並べて
巻き簾でくるりと巻き上げれば「本体」の完成。
外側はどうしよう、黒胡麻の粒粒じゃ感じが出ないし、擦り胡麻にすると白っぽくなっちゃうし
冷凍庫を開けたら、あ、正月の黒豆の煮汁の残りを発見♪これを使おう。
ちょっと醤油の香る甘い黒い液体に粉と卵を混ぜ、薄く四角く焼いて、先の本体に巻きつけて
土曜に当たって寿司が作れぬ節分の朝の「まるかぶり太巻きパンケーキ」。
蓬の香りと胡桃の歯ざわりが生きていて、形状最優先で作ったにしては味も満足。
来年は、日曜?また作ろう。
檸檬やサワークリームを入れた甘酸っぱいパンケーキなら、もっとそれっぽくなるぞ。
あとはお米のつぶつぶ感が出るような本体生地を考案したいな。
(本物の米を入れるのは反則)
(題名については白泉社花とゆめコミックス『笑う大天使』川原泉 参照)
5−02
先月、なんだか酷く疲れ果てながら更新した、夫の運転免許と私の身分証。(1月>幸運のジロ)
本当は、単なる更新事務ならばネット上でも簡単にできたのだ。
が、私の旧身分証には誤った身長が記載されていて、ネットではこの訂正はできないらしい。
正しい身長を登録するには、どうしても事務所まで足を運ぶ必要があったのだ。

6年半前に作った私の旧身分証に書かれた身長は「4-10」。
4フィート10インチ、メートル法に直すと147cm、柚子より小さい^^
これは、その当時、まだ私がアメリカの度量衡に通じていなかったために生じた誤記である。
何の用意も無い状態で突然に身長何フィート?問われても
1フィートって何インチ? 1インチって何センチ? 知らない、たべたことない。
困惑した私が必死で捻り出した関連数値が
「中学の家庭科で採寸した胴回りは60cm」「今穿いてるジーパンは28インチ」「重さや体積の単位は16進法」。
この3つから「1インチ=2.1cm、1フィート=16インチ=33.4cm」と割り出し換算した値が「4-10」で
これが見事に大不正解だったという訳。
正しくは1フィート=12インチ、1インチ≒2.54cmで、私の身長は「5-02」になる。
夫の免許証の身長も同様に3インチ低く記載されていて(彼がどのような誤計算を行ったのかは不明)
この変更願いを受け付けた窓口のお姉さんは「体重は変わった?」と夫に聞いた。
彼女、夫が申請を間違えたと思ってない。背が伸び、その分体重も増えたと誤解してるぞ。
だけど私は体重のことは何も聞かれなかった。女性に対する心遣い? 免許の世界にそんなの、ありか。

ネット更新の場合、写真は敵方に保存されている前回申請時の物がそのまま使われる。
免許証の写真の中でだけでも永遠の若さを保ちたい人には、ネット更新オススメ。
(あまりに現状との差が開きすぎて「本人」と認定して貰えなくなっても知らないよ)
私は前回の写真が好きでなかったから、この機に撮り直せるのが嬉しかった。
髪が変に跳ねてなく、唇や歯に青海苔が付着してなかったなら
きっともう少しマシな写真になるはずと期待して
髪を梳き、歯を磨き、顔を洗い、穴の開いてない服を選び、襟の先には小さな光り物まで留めたりして。
結局、できあがった新しい身分証の写真は前のと格段の差はなく
どう撮ったって所詮私は私でしかないのかなとも思うけど
うんにゃ、撮り方1つ、撮られ方1つで、まるで別人28号な写真になる場合だってあるんだ。
あの、ヒューストンからフロリダまで無休憩で突っ走った、殺人未遂宇宙飛行士リサ・ノワック。
NASA提供の公式写真と逮捕後の写真。同一人物とは思えないものね。
あの2枚の写真に励まされ、この秋のパスポート更新写真の撮影に臨む。
襟にはまた同じバッヂをつけよう。
ヒューストンで買った、STS-114=野口先輩の飛行の記念バッヂ。
…1回後のフライト、STS-121じゃなくて良かった^^


オメデトウ
この春、私のかわいい姪っ子が、中学に進学する。
ちょうど春に帰国の予定もあるので、土産も兼ねて、卒業/入学祝いの希望を尋ねてみた。
数日後に届いた返事が「アルマジロのぬいぐるみ」…をい^^
おそらくは、「幸福のジロ」を読んだ直後だったのだろう。
それとも去年の帰国時、うちの近所の公園には野良アルマジロがいるよと話したのを覚えていたか。
理科、殊に生物方面が好きな彼女「らしい」といえば「らしい」品なのだけど
中学の、入学祝いに、ヌイグルミ。
もう小学生じゃなくなるんだからさあ。
いつまでも「そんな物」で遊んでないで。
いい加減に子供のオモチャは卒業しようよなあ。
で、手元にあるとふんぎりもつかないだろうし
かと言って12年間共に暮らしてきた相棒たちをごみ収集車に持って行かせるのもなんだから
えっと、例えば無駄な空き部屋の余ってる家に住むアメリカの叔母さんの家に預けちゃうとかあ。
エルだって、ダイダイだって、アメリカ住宅なら余裕で入るし。(←象さんと大トトロの大型ぬいさん)
4月初めまでに神奈川のA家に送りつけておいてくれたら、責任持ってダラスに運びます。
ご一考ください(笑)
(そーいや、姪っ子の母親=私の実姉が私の結婚祝いにくれたのも「ぬいぐるみ」「だけ」だったなあ^^
十年後、姪っ子が結婚するならば、私もきっとぬいぐるみ「だけ」贈るだろうな^^;
好物はクッパだそーで。
アメリカの2月は税金の季節である。
山のような書類と格闘する夫の、ほんの少しでも助けになればと思い
先日、我が家に新しく税理士を1匹連れてきた。
シマウマのぬいぐるみである。
私は彼に、税(tax)にちなんで「たくす」と名を付けてやったのだけど
移民弁護士の先住ぬい「くぷ太」に陶酔した本ぬいが「ぼく、くぱ太」と勝手に改名してしまった。
おい、お前は税理士じゃなかったのか。CPAってのは会計士のことだぞ?

くぷ太は、うちのぬいぐるみの中じゃ屈指の知性派ぬいであった。
が、くぱ太のほうは、残念ながらあまり賢くないようだ。
試しに税金関係の書類を少し読ませてみたら、税、税、税、とひとり呟いている。
…よく聞いてみたら、能力の限界を越えて「ぜえぜえ」と喘いでいるだけだった。
しょーもな…


1月

あけましておめでとうございます。
…月刊だと、挨拶の時期が大マヌケになるな^^
かと言って、雑誌じゃあるまいし暮のうちから謹賀新年なんて書けないし
ま、しゃーないか。

今年の正月料理の目玉は、コレ。

松は小松菜にしたいけど、手に入らないので法蓮草。
斜めに切った竹輪の竹を立て、梅人参を散らしてまるごと食べられる特製門松。
味は二の次、瞬間芸みたいな料理だから、来年はもう同じ物を出せない。
次は何か「鶴亀」料理を考えましょう。
クリスマスの生姜クッキー生地を鳥居型に焼いて
上に真っ赤な砂糖衣をかけて「ジンジャーブレッド神社」を建立する計画もあるんだけど
はて、実行はいつになるやら。
写真左はおなじみロブスターの五右衛門、その上の白っぽい物体は鏡餅マリーちゃんのお腹です。


幸運のジロ
正月。
何気なくつけたテレビで、世界各地の新年を祝う行事、縁起物を紹介していた。
いくつか場面が切り替わった後、画面に映ったのは中南米系の初老の男性の。
彼の孫くらいの年の子供が尻尾を握り、その背中で男性の頬を撫で撫でしている動物は、あれは、
「な、何あれ?」「あるまじろ」「それは判るけど、何? 説明、何て言ってた?」「聞き取れなかった…」
番組は既に次のお国の風景に変わってしまい、アルマジロの詳細は分からずじまい。
何だったんだ。アルマジロに頬擦りすると幸運が訪れるのか?
例えば日本の厄年のお祓いのような、特定の年齢・性別の人だけのものなのか
それとも誰にでも効く一般的な願掛けなのか。
老人と孫と言う組み合わせからして、長寿の迷信なのかもしれない。わからん。
わからんけど、その番組はうちのアルマジロぬいの「あるま太郎(通称タロちゃん)」も観ていたので
その夜から早速、「(自称)幸福のタロちゃん」による擦り擦り攻撃が始まったのだった。
朝、出勤前の夫の頬にタロちゃんがすりすり。
帰ってきたら「おかえりなさい」の擦り擦り。
食器洗うの面倒くせぇ…と私がぼやけば「頑張〜れ頑張〜れ」と擦り擦りしてくるし
休日の朝は「おっはよ、朝だよ、擦り擦り擦り擦り擦りっ」と起きるまで背中擦りをやめない。
1週間も経てば飽きるだろうと放っておいたのに、10日経っても2週間経っても擦り擦りはとまらず
やがて、タロちゃんの背中は皮膚やら皮脂やら口の回りの食べカスやらで徐々に汚れ出したのだった。
「このままじゃタロちゃん、雑巾みたいになっちゃうよ?擦り擦り専用に新しいアルマジロ1匹、連れてくる?」
「んにゃ、新しいジロちゃんは普通に可愛がろうよ。そんで、この汚いタロちゃんを擦り擦り専用におろそう」
ぬいをからかって遊ぶときだけは妙に息の合う夫婦なのだ^^
タロちゃんはそんな夫婦のいじめにもめげず、相変わらず擦り擦り。
このまま永遠に続くのかな、と思ってたら。

ある朝、タロちゃんが寝坊したのか、夫の出勤時に見送りに出て来なかった。
その日の夜はアイスホッケー観戦。
少し早めに家を出て、最近見つけた中華料理屋でラーメンを取ったら、素晴らしく美味しかった。
試合会場に行ったら、予定外の入場者プレゼント、今期の選手年鑑を貰った。
オールスター戦@ダラスの情報入りの特別版、買うと高いからかなり嬉しい。
試合にも4-2で快勝し、チョーご機嫌で1日を終えた。
「タロちゃんいなかったから、いい日だったねー」と夫。
「違うもん、もしもぼくが擦り擦りしてたら、10-0で勝てたはずだったもん。
もっといい物貰って、もっと美味しいご馳走にありつけたはずだもん。
なのに4-2で、広告ばっかりの年鑑で、ただのラーメンだもん。
やっぱり僕は幸せのアルマジロ様だもん」
妙な意地を張るタロちゃんである。

翌日は、いつも通りにタロちゃんの擦り擦りで1日が始まった。
今日は、夫の会社に運転免許更新事務の出張サービスがやってくる日。
夫の免許も私の身分証も今年で切れるので、この機会を利用することにしていた。
早起きし、写真撮影に備えて髪をとき、穴の開いてない服を着て、口に牛乳の髭が付いてないことを確かめて、出発。
なのに会社に着いてみたら、そこに免許事務所の出張バスの姿など無い。
「あれ?日付は間違ってないし…もしかして、午後からだっけ??」とうろたえる夫。
仕方ない、免許更新は昼食後に再挑戦することにし、私はそれまで会社の近くでひとり時間を潰す。
が、夫の携帯電話が知らぬ間に妙な設定に入ってしまっていたために電話が通じず
昼休みの待ち合わせに失敗し、疲労困憊の末にようやく落ち合えたのは午後1時過ぎ。
遅すぎる昼食をとりに馴染みのイタリア料理屋に行き
私は普段は食べられない平日昼だけのメニュー「茄子のパルミジャーナ」を頼んだら
「ごめん、それはさっき売り切れた」
ずっと前から楽しみにしてたのに。12時過ぎに来てたら食べられたのに。
とっても意気消沈しながらピザを齧る。
午後になっても結局免許事務所の車は現れなかった。
免許の期日まではあと数ヶ月あるけど、この際だから今日中に済ましちまえと
会社から自宅を挟んで全く反対方向の免許事務所へ赴く。
予定していた会社での手続と違い、長い長い長い待ち時間。
こんなつもりじゃなかったから、暇潰し用の本は持って来ていない。
もーいやだ。
「今日、タロちゃんが擦り擦りしたら、良くないことがたくさんあった。
やっぱりタロちゃんは幸運のジロなんかじゃ無い。
もう、擦り擦りは絶対に禁止!」
夫に怒鳴られ、私に蹴飛ばされ、哀れタロちゃんは今は部屋の隅。
でも、ときどきこっそり私のそばにやってきては囁くのだ。
「あのね、次のホッケの試合に一緒に行ってあげる。
敵チームの服を着てる観客みつけて後ろから忍び寄って擦り擦りしたら、
そっちが負けて、ダラスが勝つよ♪」
…怒鳴られても蹴られても踏まれてもめげない元気なタロちゃん、好きだよ^^
あ、免許事務所の出張車は、「機械が故障したからしばらくお休み」と後日連絡が来たらしい。
後日ってのがアレだよな…


あげると言われりゃ断りにくく
12月に移転新装開店した中華系スーパー、
買い物をすると何のかんのとほぼ毎週「オマケ」をくれる。
年末は、お店の名前入りのカレンダーだった。
旧暦が併記されてるのは、予想以上にとっても便利。
キリスト教の復活祭だってイスラム教の断食月だって月の満ち欠け基準で日取りが決まるし、
満月の日は出産が多すぎるから婦人科検診の予約はその日を外さないとひでぇ目に遭うし、
ダラスで潮干狩りはしないだろうから大潮や小塩は関係ないけど
国立公園旅行をするなら空が暗くて星の綺麗な新月の時期がいい。
旧暦カレンダー、手放せなくなりそうだ。
(満月・新月・半月程度ならアメリカでも印がついてるカレンダーが結構あるけどさ)

年が明けて最初の週末は、お豆をくれた。
南部諸州の新年の食卓に欠かせない「Blackeyed Peas」(中国語では眉豆)。
普段流通しているのは常温で長期保存のできる乾燥豆や煮豆缶だけど
この時期には乾物を戻す時間を節約できる「もう水に浸してあるよ」という半生?豆が出回るのだ。
オマケとしてくれたのは、その半生豆。便利だけども、当然余り日もちはしない。
せめて年末に貰えれば、買ってあった乾燥豆の袋を開けずにこっちを正月料理に使ったのに
今更こんなの物をくれたって、これ、いったいどうすればいいんだ?
しかも要冷蔵。今日はこのまま他のスーパー数軒を梯子する予定なのに
こんなものを押し付けられちゃあ一旦帰るしかない。
「もらう食い物に迷惑なんかはございませんよぉ(斎木和音)」は、嘘だ。
結局、始末に困った豆はとりあえず茹で、そのまま冷凍した。
きっとこのまま夏を越し、来年の正月料理に使われることでしょう。
冷凍食品は冷凍庫が壊れない限り永遠に大丈夫、が私の信条なの。
茹で加減をみるために数粒つまんで口に入れたら少し酸っぱい味がしたけど
あれは半生豆の鮮度保持のために添加した酸の味だよね?
大丈夫、腐って酸味が出たわけじゃないよきっと^^

1月半ばには開店祝いの獅子舞が出て、雑穀や胡麻や茸の粉末即席飲料の素をくれた。
熱い牛乳で溶くと、どろりと濃く甘く、ジャンクだけど案外美味しい。
表現するなら「きなこ汁粉」という感じの風味か?
思いついて正月の残りの餅を加えてみたら、とてもよく合った。
小袋が20も入った徳用大袋なので、汁粉として飲むだけじゃ消化しきれない。
手始めに、バタと卵を適当に混ぜ、きなこ汁粉クッキーを焼いてみる。
ちょっと素朴で、まあまあいける味。
今週末はマフィンにしてみよう。ワッフルと、パンケーキも順次。
夫よ、しばらくは我慢しておくれ。


ない物ねだり
折角この国に永く住んでるんだから頑張って50州全てを踏破したいな、というのが私の夢。
2007年1月現在、訪ねたことのあるのは32州。
ワシントンD.C.を入れたら33/51、数の上ではほぼ2/3に達したけど
実際はこの先が大変なんだよね。
有名な観光地や主要な国立公園を抱える州は先に潰しちゃったから
残っているのは「ろくでもない」所ばかりなんだもの。
ウィスコンシンにはローラちゃんごっこをしに行けばいいかな。
隣のミネソタで卵を買って、更に隣の南ダコタでは岩の上に大統領の顔が並んでるのを眺めるとして
でも、北ダコタって何があるんだ? ネブラスカはどうしよう??
アイオワ、ウェストバージニア、コネチカットにロードアイランド、うーむ。
でもまあ、一番行き難そうなアラスカを幼少時に片付けてあったのはかなり幸運。
給油着陸で、アンカレジ空港の外には出てない、そもそも飛行機の外に出なかったかもしれないけど。(記憶にない)
全米屈指の見所なし州・テキサスも踏破してあるしね。

遠い昔、隣のオクラホマに初めて遊びに行ったとき、
州境の駐車場で夫と2人「オクラホマミクサー」を踊った。
バーモントに行ったときは、バーモントカレーの空き箱持参して記念写真を撮ってきた。
ので。
現時点で未踏18州の中の1つ、北カロライナに行ったなら
是非とも現地で渦巻き模様のキャラメルを食べたいなと思ってたのに
のに、のに、のに、こんな騒ぎになっちゃって、
もう手に入らないかもなあ、不二家ノースキャロライナ。しょぼん。


最古(2000年11〜12月)//2006年//2008年//最新(2014年)の日刊つん太へ