日刊つん太 2003年7〜9月(代理執筆・由里)

最古(2000年11〜12月)//2003年4〜6月//2003年10〜12月//最新(2014年)の日刊つん太へ
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9月19日(金)
最近どーも注意力散漫で参っている。
(もともと注意力などありゃしなかった気もするが)
ぼけーっとしたまま行動しているから、次から次に妙なことをしでかす。
インスタントコーヒーの瓶を電子レンジにかけそうになったり
(インスタントコーヒー少々と水を入れたマグを加熱するつもりだった)
インスタントコーヒーの瓶にやかんのお湯を注ぎそうになったり
(勿論、インスタントコーヒー少々を入れたマグにお湯を入れたかった)
野菜の煮物に味付けしようとしてインスタントコーヒーを放り込みそうになったり
(醤油を入れるつもりだった…コーヒーの瓶も醤油の瓶も共に蓋が赤い)
(コーヒー絡みの事故ばかりだな)
ほとんどはぎりぎりのところで気付き、未遂で済んでいるけれど
実際にやっちまうことだってある。
冷蔵庫を開けたら、中で料理の本が冷えていたことがあった。
まあ、少なくとも、本棚の中で肉が異臭を放っているよりはずっと良い。
先日は、スーパーでナツメグを買った。
家に戻って買った物を片付けていたら、ナツメグの缶が「ごろん」と音を立てた。
え???と思ってよく見ると、私が買ったのは粉末ナツメグではなく粒ナツメグだった。
なんってこったい、私はナツメグ挽きなんか持っていないぞ。
胡椒挽きじゃ挽けないだろうし、さあどうすんべぇ。
間違えて買った粒ナツメグはゴミ袋に放り込んで粉末を買い直すという手もあるけれど
やっぱりそれは気分が悪い。
金額の問題じゃないよね。
買った店に行って粉末と交換して貰うというのがまあ常識的な対応。
夫の同僚たちに聞いて回れば、要らないなら引き取るよって人も1人位はいるかもしれない。
でも私は、これも何かの縁と思ってナツメグ挽きを買ってしまうことにした。
粒ナツメグは1缶2ドルちょっと。ナツメグ挽きは25ドル。
本末転倒というか主客転倒というか…
でも、こんな機会でもなけりゃ、自分では一生買わない・買えない道具だろうから。
(さらに中元歳暮や誕生日にナツメグ挽きを貰うこともないだろうしね。)
挽きたての胡椒は粉胡椒とは全然香りが違う。
きっと挽きたてのナツメグも良い香りだろう。
これは怪我の功名…というんだろうか。
挽き立てナツメグでハンバーグを作るのが楽しみで仕方ない。
ナツメグの効いたクッキーも食べたいな。


も1つ計画しているお料理は、細かく刻んだ栗を小豆のかわりに使った水無月。
十五夜に作ったお団子に小豆餡を添えたのを「9月のお菓子だよ」と夫が会社に持って行ったら
これが滅茶苦茶に不評だったのだ。
団子自体に甘みが無いのが良くなかったようだ。
大量に残ってしまった団子を見て気の毒に思ったのか
「この前の、上に豆が乗ってるの、また作ってよ」と言ってくれた人がいたらしい。
だ〜か〜ら〜、あれは6月のお菓子なんだってば。9月に食べる物ではないの。
そう言いながらも、やっぱり悪い気はしない単純な私。
せめて栗を使って秋らしさを演出してみようかと。
生地に裏漉したカボチャを混ぜ込んでみてもいいかもしれない。
来月のハロウィン、さ来月の感謝祭のおやつになりそうだ。





あるところでは盛大に、またあるところではひっそりとお話ししていますが
来週半ばから2週間、日本へ参ります。
ビザ更新の都合で出国できなかった期間があったのと
たまには日本の秋を味わいたかったのとで
前回の帰国から少し間があいて、1年8ヶ月ぶりの日本です。
5年ぶりの本物のサンマ(頭の無い、せんキャベツを添えたサンマとかなら食べてるけどね)
5年ぶりの早生みかん(オレンジなら20個1ドルとかだけど…早生みかんの香りは堪らんわ)
柿に栗に葡萄に、もしかしたら台風に
日本の秋を満喫してきます。楽しみ楽しみ。
(松茸と言わないところが貧乏人の証)


8月31日(日)
いつかきっとそんな日がくるだろうとは思っていたのだけれど。


行きつけのタイ料理屋がある。
ものすご〜く美味しいというわけではないけれど
アジア人である私の口にアメリカ料理よりも合い、中華料理ほど脂ギトギトでなく、
日本料理屋よりも近所にある。そして日本料理より安い。
そんなわけで、最近はほとんど隔週で週末のゴハンを食べに行っている。
下手すりゃ「あれ、先週も来たっけ?」なんてこともあり
さすがに土曜に行って日曜も…ということにはならないように気をつけているけれど。

その店のメニューは「○×カレーを、鶏肉で」とか
「キャベツとカシューの炒め物を、トーフで」とか
料理名+そこに入れる肉の種類で指定するようになっていて
私は飽きずに毎回必ず「with fish」の注文をする。
ここでいうfishてのは鯵とか鯖とかじゃなくナマズのことで
特有の臭みを嫌う日本人も多いようだけど、私はこれが大好物なのだ。
が、スーパーで買ったナマズを自分で料理するとどうやっても身がボロボロになって美味しくない。
自分で料理できない、外でしか食べられないから
なおさらナマズのある店ではナマズばかり頼むようになる。
「with fish」「with fish」「with fish」…さんざんこの言葉を繰り返していたら
前回行ったとき、いつもの給仕のお姉ちゃんの伝票に書き込む手が、私の口より先に動いたような気がした。
気のせいかな、とそのときは思ったのだけど
昨日はついに…私が言うより先ににこやかに「with fish?」と言われてしまった。
あ〜^^;
「うんにゃ、きょうは豚にする!」と言おうかなとも思ったけど
そう思ってる間にお姉ちゃんはもう「fish」って書いちゃってるし
私が食べたいのはやっぱりナマズだし
にこやかに「Ye〜s」と返事してしまったのだった。
ナマズの入ったカレーをかけた麺は美味しかった。

昔、ダラスに来たばかりの頃に通い詰めた中華料理屋があって
そこではほとんど毎回、麻婆豆腐を食べていた。
やがて席に着くと「麻婆豆腐?」と聞かれるようになって
このときは、これが非常に居心地悪く感じられたのだった。
何だか「お前はどーせ麻婆豆腐しか食わないんだろ」というような目で見られている気がして
だんだんその店からは足が遠のいてしまったのだけど
今回のタイ料理屋の「with fish?」はむしろ嬉しかった。
お姉ちゃんが「うちのナマズを気に入ってくれてるのね」と思ってくれているような気がして
事実、私が知る限り、ダラスで2番目に美味しくナマズを食べられる店だと思うし
…きっと再来週あたりまた行って、またfishを頼むんだろな。笑われながら。


8月22日(金)
そこの小学生たちよ。
スクールバスを待つ間、何故に歩道をふさいで座りこむ?
1列に並んで立ってろとは言わないからさ
せめてオバサンが歩いてたら道をあけてよね。
君たちが邪魔で歩道は歩けず
送迎の自家用車で交通量が増えてるから車道を歩くこともできず
仕方ないから歩道と車道の間の芝生の中を歩いてたら
うっかりファイア・アンツの巣を踏んじゃったじゃないの。
2箇所噛まれた。ああ痒い。

私が住んでる市のゴミ収集は週に2度。
家の裏の車庫の脇に、好き勝手な袋に入れてテキトーに置いておけば持って行ってくれる。
近隣の町では指定ゴミバケツがあったり従量制の有料収集だったりする所もあるので
ずぼらな私はこの町に住んでよかったなとしみじみ思う。
収集車が回ってくるのは大抵お昼過ぎだから
朝の渋滞を避けて重役出勤をする夫が家を出るときでも十分に間に合う。
らくちんらくちん…だった。先月までは。
先々週から、ゴミ収集車の道順が変更になったようなのだ。
うちのあたりには、朝9時、下手すれば8時半に回ってきてしまうようになった。
夫の出勤時じゃ間に合わにゃい。
朝起きてすぐに出せばいいのだけれど
なにしろ大邸宅だから、ガレージの出口なんて遠くて遠くて面倒で
現在、ゴミ車との競争は3勝2敗。
今朝は「負け」でした。
生ゴミの大半は生ゴミ粉砕機で下水に流しちゃうから
出し損ねて1週間おいちゃったゴミでも余りひどくは匂わないのが幸いです。
(でも、お散歩の途中ですれ違うゴミ収集車は、日本のゴミ収集車と同じ匂いがするの。
生ゴミの量も内容物も全然違うのに
ちょっと不思議)


8月15日(金)
気が付けばもう8月も半ば。今日はインドの独立記念日。
夫の同僚のインド人たちがそう言うと
パキスタン人たちが「俺たちは昨日だ、俺達の方が1日早かったんだ」と威張る。
もうすっかり毎年恒例の行事になってしまったみたい。

来月の11日は陰暦の8月15日(中秋)。中華系のスーパーには早くも月餅が並び始めたらしい。
夫がよく昼を食べに行く中華レストランでも自家製パンや菓子の販売をしていて
一昨日、その店の月餅を1つ土産に買って帰ってきてくれた。
私は椰子の実の餡の月餅が好きで、夫もそれはよく知っているのだけれど
夫が買ってきたのはアーモンドや松の実やドライフルーツがぎっしり詰まった「伍仁(ごもく)月餅」。
「だって、漢字で書いてあったから、どれが椰子の実かわからなかったんだもん」
…ま、しゃーないか。
言語は違えど漢字の国の人である夫でさえこうなのだから
一緒に食事に行ったインド人にはもっと何が何だかわからなかっただろう。
夫に「美味しいぞ、1つ食ってみろ」と勧めらるまま
テキトーな1つをテキトーに指差して「これください」と言った彼女は
お店のおばちゃんに怒られたそうだ。
「全部中身は違うんだから、どれでもいいってわけじゃないのよっ。ちゃんと選びなさいっ」
怒るくらいなら、英語の説明もつけとけってば^^
そのあとは毎度おきまりのパターンで
なぜミッド・オータム・フェスティバルにムーン・ケーキを食べるのかとインド人が問い
問われた夫は満足な答えができず
家に帰って来てからインタネットで調べまくり。
アメリカに来て、日本文化と中国文化にはずいぶん詳しくなった気がする。



アメリカの学校は9月に始まる、と広く一般に信じられてるようだけど
それは誤解だ。
うちの地域の公立小中学校は今週の月曜から新学期に入った。
私のお散歩コースの途中にも小学校は1つあって
子供たちが登校してくる時間は7時から8時。
私がお散歩をする時間にちょうど重なってしまう。
子供を送ってくる車で道が混むだろうな、危なくなるぞ、と心配していたのだけれど
実際に学校が始まったら主な交差点には交通整理の警官が立ち
必要に応じて「STOP」の標識をあげて車を止めてくれるようになったので
夏休み中の空いた道路を自分の判断で渡るよりむしろ安全なのだった。
(子供じゃないんだから、一緒に道を渡ってくれなくてもいいんだけどねぇ… はあ…)
でも、朝の空気が排ガスで汚れて美味しくなくなったのは間違いない。
学校の隣の小さな公園の駐車場は車の熱気でむかむかするほどだし
公園の小道は子供を送り届けて帰るお母さんたちが
道いっぱいに広がってお喋りしながらタラタラ歩いていて邪魔臭くて仕方ないし
できることなら、この通学時間帯を避けて散歩したいもんだなぁ。
でも、これより早くすると日の出前で外はまだ暗いし
遅くすると暑くて暑くて生命が危険だし
うまく共存の道を探るより他ないんだろうな。
むうううう。


7月21日(月)
草むしりをしに前庭に出るときは、ウォークマンが必需品。
別に音楽を聴こうってわけじゃない。
電源は入れないまま、イヤホンを耳に突っ込むだけ。
そうしておけば、道行く人々が話しかけてこないから。
ふと顔を上げたときに目が合ってしまっても、にっこり笑って片手を上げるだけで済む。
…なんとまあ、後ろ向きな態度。
せっかくの料金無料の生きた英会話レッスンの機会をふいにしちまうなんて勿体無い。
でも、嫌なものは嫌なんだもん。
お願いだから私に声をかけないで!と強く思う。
アジア人だから、有色人種だからという理由で差別され
こちらから挨拶してもツンと無視されるような町には勿論住みたくないけれど
Sorry,I can not speak English.と言ってるのになお会話を試みようとする人々も鬱陶しいものよ。
(まままさか、あまりに発音が悪く「英語は話せぬ」というのが伝わっていないのか??)

たま〜に、その大事なウォークマンを忘れて外に出てしまう日もある。
いったん靴を履いてドアの鍵まで締めてしまった後じゃ、取りに戻るのも面倒くさい。
まあいいや、とそのまま草をむしり始めたら、ああ… 来やがった^^
本日は、お隣の奥さん。
「それは何をしているの?その草を何に使うの?洗って食べるの?薬になるの??」
違う違う、私はこの草を必要としない、これはゴミだ、捨てるのだ、と言ったつもりな私。
…そりゃ、まともな文になってない、ただぼつぼつと単語を並べただけではあるけれど
それでもあそこまで見事に通じない、まるっきり理解して貰えないというのは
やはりこの国の人には「芝生に生えた雑草を根から除去する」という概念が無いのかな。
ゴミ袋片手に花壇の中でゴソゴソやってる人はよく見かけるけれど
芝生の中で這いつくばってる人はまずいないもんな。
伸びた雑草は芝刈り機で芝と同じ丈に刈り込んでおしまい、
残った根と茎からすぐにまた生えてくるけれど
そしたらまた刈ればいいだけの話、というのが普通の考え方なんだろう、きっと。
あるいは大量の除草剤を撒き散らすか。
そんな人たちに「草むしり」の説明をするのは、私の英語力じゃ到底無理。
いっそ「これは日本の宗教儀式である」とでも言えばよかったかな?

私の英語じゃわけ判らないけどでも私の謎の行動は解き明かしたいお隣の奥さん、
「あなたはどんな言語を話すの?日本語?良かった、私の友人に日本語を話す人がいる!」と言うや
いったん家に戻り、やがてコードレスの電話でそのご友人と話しながら戻ってきた。
電話の向こうの俄か通訳を挟んで会話が成立するかと思いきや
その相手、日本人(日本語ネイティブスピーカー)ではなく
いかにも観光地の土産物屋にいそうな、怪しいカタコト日本語を話すだけの人だったため
「草むしり」だの「雑草」だのという日本語が一切通じず、ますます会話は大混乱^^
何だか異様に疲れた本日の草むしりでした。
明日は絶対にウォークマンを忘れないぞっ!


7月1日(火)
独立記念日の休暇にちょっと早めに勝手に突入しました。
5月末の連休に行き損ねてしまったコロラドロッキー旅行に明日、再出発です。
ロッキーだと…何を食べればいいのかな。
山菜そばは無いだろうなあ。
アイスクリーム屋さんでロッキーロード?
ドライブだから、例によって3泊4日で5回くらいはマクドナルドだったりするんだろうな。
ああ脂が、カロリーが。この3ヶ月半の運動が水の泡かも(泣)
最近マクドナルドでもサラダを売り始めたのが救いだな。
鉄アレイを持って行って、休憩のたびにブンブンぶん回してよっと。

ぬいぐるみは、拓ちゃん&右だっけの当てにならないドライブ担当ぬい2匹に加え
これまた無謀な道案内役、ひたすら直進あるのみ!!!の「まくわ(猪)」と
まくわに懐いているバッファローの「てば」が同行します。
ポケットサイズの米蔵・求肥丸と折り畳み傘の前田君も当然。
現地でも可愛い子に出会えるといいな。
では〜


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